旧型MacProにMojaveをインストール

AppleのMac=Macintoshコンピューターは、基本的にOSを無料でアップグレード(アップデート)できます。それ自体は大変素晴らしいことなのですが、Macの創られた年代によっては、最新のOSをインストールできない、つまりアップグレード不可という事態も発生します。これをAppleのユーザー切り捨てと批判する人も居ますが、コンピューターと言えどもエレクトロニクス製品である限り、時が経てば必ず旧型として消え去る運命ですので仕方がありません。少々残酷な表現で「陳腐化」とも言われますが、それまで元気に動いていたマシンが使い物にならなくなる….あの「老兵は死なず。ただ消えゆくのみ」という有名な台詞が当てはまります。

私がメインマシンとして使用している2010年中期製(Mid 2010)のMacProが、まさにそうでした。macOS High Sierraまで何の問題もなく動いていたMacに、2018年後半にリリースされた最新OS「macOS Mojave」がインストールできなくなってしまったのです。これはMojaveのリリース当時かなり話題になって、インターネットのサイト上にも多くの対策記事や情報がアップされました。

Appleのサイトを参照すると、「Mojaveにアップグレードする方法」が記されています。最初の「互換性を確認する」という項目にはアップグレードに対応した機種の一覧がありますが、それによるとMacProは「2013年後期に発売されたモデル、Metal対応の推奨グラフィックスカードを搭載した2010年中期または2012年中期のモデル」でなければならないのです(それ以前のOSのヴァージョンやメモリー容量の記載などは割愛)。

果たして、私のMacProの「システム情報」を開きハードウェアのグラフィックス/ディスプレイの項目を見ると、確かにMetalに対応していません。因みにデフォルトで搭載されているグラフィクスカードは、ATI Radeon HD 5770です。

ということは、このMac Proを最新OSで使い続けるのであれば、まずはグラフィックスカードをMetal対応のGPUを搭載したものに交換するしか道がないわけです。勿論、MacProそのものを現行モデルに買い替えれば良いわけですが、どうも個人的にあの円筒型ボディは好きになれません。しかも、G5の頃から長年愛用してきたタワー型の筐体は、拡張性に優れた設計で愛着もあります。費用の面でも、グラフィックスカードを入れ換えるだけで使えるようになるならば、大いに助かります。MacProはMacでは唯一このカードを簡単に交換できる設計になっていますので(Proたる所以です!)、それを利用しない手はありません。

そこで同じくAppleサイトの「Mac Pro (Mid 2010) および Mac Pro (Mid 2012)に macOS 10.14 Mojave をインストールする」というページを参照すると、Mojave対応のグラフィックスカードの一覧が載っています。

この中から、コスト面や在庫など様々な面から考慮して、一番上にあるMSI Gaming Radeon RX560 128-bit 4GB GDR R5を選択。ネットで検索し、最もリーズナブルな価格で販売されている同製品を購入しました。

MacProの横パネルを外し、元々搭載していたグラフィックスカードHD 5770を取り外します。

代わりにRX560を取り付けます。

取り付け後にパネルを閉じ、再び「システム情報」を開いて同様にグラフィックスカードの項をチェックします。

カードが無事に置き換わり、Metal対応になっているのが判ります。確認後にApp Storeにアクセスし、Mojaveをダウンロードしてインストールします。この際、FileVaultをOFFにしておかなければなりません。

ダウンロードしたアップデートファイルを立ち上げてインストールを開始します。この画面が出れば、あとは気長に完了を待つだけです(ひと安心)。

表示された時間待つことしばし、Mojaveのインストールに成功しました。

Mojaveの売り?であるダークモードでも、しっかり表示されます。

MacProのCinema Displayに表示された、macOS Mojaveのデスクトップ画面です。これで完全にmacOS High Sierraからのアップデートが完了しました。

こうして2010年製のMacProも、あと数年いや何年かは判りませんが、メインマシンとして変わらず活躍してくれることになりました。ただし、それもそう長い間ではなく、次世代のMacPro…私がデザイン面でも心ときめかす、全く新しいMacProが登場するまでの間かも知れません☯

FENDER MONTEREY TWEED

フェンダー(フェンダーミュージック株式会社)から、Bluetoothスピーカー「MONTEREY(モントレー)」のバリエーションモデル『MONTEREY TWEED(モントレーツイード)』が、2018年11月より随時発売されます。「MONTEREY TWEED」のデザインは、同社のヴィンテージアンプで有名なツイード仕様のギターアンプからインスパイアされたもの。アンティークな外観は、インテリア性も高く様々な部屋にマッチするとしています。    

フェンダーのギターやアンプに詳しい人なら誰でもが知っているツィードアンプですが、MONTEREY TWEEDはキャリングハンドルを始め、ON/OFFスイッチ、電源ランプ、レトロなコントロールノブなど、見事にそのデザインやフィーリングを活かしたスピーカーに仕上がっています。Bluetooth機器とのペアリングを知らせるサウンドにギターの音が使われているのも、遊び心があって洒落ています。

発表会ではSpotifyの音源を使って、会場全体に響き渡るほどの比較的大きな音量で再生していましたが、以外に豊かな低音やクセや歪感の少ない中高音など、立なかなかどうして立派な音でした。しかも、先に発売されていた通常モデルと比べて若干音質が向上しているように聴こえたのは、やはりツィードの外観によるものかも知れませんが、興味深いことです。因みに、このスピーカーの設計は、通常モデル同様アンプ部門のエンジニアが担当したそうですが、いずれその辺も含めて取材と検証をしてみたいと思います。ここでは、取り敢えず特徴や仕様などを製品資料から引用しておきましょう。

『最適にチューニングされた2つのフルレンジスピーカーと 2 つのウーファーによって、小規模なパーティでも使えるほど、タイトでパワフルなサウンドを誇ります。また、コントロール部はボリューム、トレブル、ベースの調整が可能な 上、背面に備わっている「Sharp」スイッチを押すことで、さらにトレブルとベースを強調し、さらに迫力のあるサウンドにすることも可能です。外部入力には、AUX IN 及び RCA 入力を搭載しており、用途や環境に合わせて様々な使い方が可能です。』

蛇足ですが….残念ながらINPUTはLINE入力のみで、ギター用の入力端子はありません。あくまでオーディオスピーカーとして楽しむための“ツィード”ということでしょうか(個人的にはギター用入力端子が欲しい気もしますが)。

なお、フェンダーのイヤモニ(詳細は改めて)やこのスピーカーは、新しく株式会社アユートから販売されることになりました。同社は海外オーディオ製品の取り扱いと販売に豊富な実績があり、加えてギターに詳しい担当者もいるため、ますますフェンダーの楽器とオーディオのインテグレーション(融合)そして積極的な展開が期待できるのではないでしょうか☯

JAKE SHIMABUKURO

10月18日、新アルバム『THE GREATEST DAY』をリリースしたジェイク・シマブクロの来日コンサート「The Greatest Day Tour in Japan 2018」へ行ってきました。会場は東京(青砥)の「かつしかシンフォニーヒルズ」のモーツアルトホールです。ここは初めて行きましたが、なかなか良いホールで驚きました。さすがは、大音楽家の名を冠したホールです(入り口に彼の像がある)。

会場に早く着いたせいか、最初は人影を見かけず不安になりましたが(苦笑)、どうして、会場時間になると沢山のお客さんが….実際、客席は満杯でした。年齢層は若干高めのように感じましたが、ジェイクの人気の高さが伺い知れます。

ジェイクは最近のライヴのフォーマットで、エレキギタリストとエレキベーシストを伴って登場。いつものようにエネルギッシュで、非常にクォリティの高い演奏を繰り広げました。例によって、ジェイクの片言の日本語を交えたMCも面白く、大いに客席を盛り上げていましたよ。いつものようにステージはシンプルなセッティングでしたが音質も良く、バリライト風の照明が巧く使われていて、客席との一体感を増していたようにも思えました。

開演前の客席の様子。この後満席に…。

ジェイクの使用したウクレレは、恐らくカマカの新しい“ジェイク・ブルー・エディション”だったと思いますが、ピックアップを通していながら、いつにも増して深味のある音でした。また、ジェイクが弟さんのブルースと立ち上げたコストパフォーマンス抜群の“シマウクレレ”でも数曲演奏しました。このウクレレは会場でも販売されていましたが、早速購入していたお客さんがいたのにはびっくり。確かに、39,800円(税別)という価格は魅力的でしょう。因みに、ブルー・エディションはオープン価格ですが、実勢価格は640,000円(税別)もしますからね! リーズナブルなお値段でジェイク本人が設計を担当したウクレレが手に入るのですから、シマウクレレはこれからどんどん人気が出るのではないかと思います。

コンサートの内容に関しては、また近々発売予定の『ウクレレà la mode』誌上にて詳しくお伝えする予定です☯

ストラトのトレモロスプリングを交換

先日入手したFender Mexico LIMITED EDITION CLASSIC SERIES ’50s STRATOCASTER Fiesta Redのシンクロナイズドトレモロのスプリングを、RawVintage 交換しました。RVTS-1に交換しました。

元々このストラトは標準的なスプリングの3本掛けでしたが、既に他のストラトでRVTS-15本掛けのチューニングの安定性やサスティーンの良さを体験していましたので、迷うことなく交換することとしました。

スプリングをRawVintageに交換

今回は単にスプリングを交換しただけで、何も調整しませんでした。もう一本のストラトFender Japan Exclusive Classic Special 54 Stratocaster 2-Color Sunburstはブルースを演奏することも鑑みて、ブリッジはフローティングしているものの、アームアップはしないのでベタ付けにしています。そのため、弦高を含めてかなりの調整が必要でしたが、こちらのストラトは初期設定のまま。つまり、ブリッジはアームアップ&ダウン可能な通常のフローティング状態です。

実際ハンク・マーヴィン風にアームでヴィブラートを頻繁に掛けながら(アームを持ったままで)試奏してみても、全く問題ありません。チューニングも狂いにくく、良い感じです。

弦はいつものようにElixirのカスタムライトに交換するつもりですが、その際には若干の調整が必要になるかも知れません☯

伝説的ナイロンピックの話

ここで言うピックとは、フラットピックのことです。そして、私は普段HERCOのナイロンピックしか使いません。HERCOを知ったのは、今から40年以上も前のこと。ヤング・ギター誌の仕事で故ドック・ワトソンにインタビューした時でした。

彼の使っていたピックがHERCOのナイロンピック「HEAVY GAUGE」だったのですが、それまではミディアムゲージのような硬い弦に鼈甲のような硬いピックで弾いているという情報がまことしやかに流れていましたので、実はヘヴィーゲージとはいえ、他の素材より遥かに柔らかいナイロンピックを使っていることを知った時は非常にショックを受けたものです。

もちろん、私は頼み込んでドックから1枚貰うことに成功しました。ドックのギタープレイに心酔していた私にとって、それは何よりの宝物でした。当然、勿体なくて使うことなどできません。いや、実際には何度か使いましたが(笑)。
それまで、よくあるプラスティックやセルロイドのピック、そして鼈甲のピックを使っていたので、最初は違和感がありましたが、そのうち慣れるに連れ、このHERCOのナイロンピック以外を使う気は全くなくなってしまいました。そこで何とかして同じピックを手に入れたいと思い、日本中を探したのですが、どこにも売っていません。しかも、まだインターネットなど普及していない時代で、通販で探そうにも手だてがありませんでした。このHERCOは、便宜上オリジナルと呼んでおきましょう。

Herco “Original”

そうこうしているうち、ある時某楽器屋さんの店頭で新しいHERCO(ジム・ダンロップ)のナイロンピックを見付けました。色と素材は違っていましたが、とにかく比較的手に入りやすいこともあって、その後数十年にわたって使い続けてきました。ナイロンなので割れることはほとんど無く、減り(削れ)も少ないので、1枚あれば結構もちます。それでも、見付けるたびに買って100枚近く貯まってしまったのではないでしょうか(笑)。これを便宜上スタンダードHERCOと呼びます。

  Herco Nylon Flat Pick Flex 75

先述のように私はドックによってHERCOを知ったわけですが、ニール・ヤングやジミー・ペイジなど、特にロック方面のギタリストに愛用者が多いのも驚きました。まあナイロンですので、タッチ優先、ボリュームはアンプで如何様にでもなるエレキギターの方に、むしろ合っていると言えなくもありません。私の大好きなOrleansのジョン・ホールもHERCOを使っていたので(もちろん会った時に貰いました!)、アコースティックとエレキの両方でHERCOを使うことにいささかの迷いも生じませんでした。

そして3年ほど前でしたか、1960年代のモールドから再現したヴィンテージのHERCOが発売されたというではありませんか。
デザイン的にはオリジナルそのままでバリも少なくちゃんとしたピックですが、残念ながら素材が違っており、オリジナルのややセルロイドが混じったようなナイロンに対し、スタンダードのややビニールっぽいナイロンでかつ若干柔らかめです。しかし、これはこれでまた違った持ち味がありますので、やはり何十枚も買ってしまいました。

 Herco Vintage ’66 Nylon

そして遂に今年、決定的なHERCOオリジナルそのままとも言える復刻版が出ました! それが、HERCO HOLY GRAIL PICKです。“英国のハードロックの歴史に戻してくれる”という謳い文句なので、ジミーが使っていた、すなわちドックと同じオリジナルのHEAVY GAUGE(FLEX 75)と同じものでしょう。

Herco HOLY GRAIL

役者が出揃ったところで、それらを比較してみましょう。判りやすくするため、3種類のHERCOを横に並べてみます。いずれも輪郭の部分にバリが付いているのがお判りになるでしょうか(素人写真でちょっと見にくいところはご勘弁下さい)? おそらくモールドで一度に大量に作られるのだと思いますが、その際にできたバリでしょう。通常ならやすりをかけて滑らかにするところですが、この辺のアバウトさも、アメリカならではと言うか、HERCOらしさなのかも知れません。カタを持つわけではありませんが、慣れてくると、このバリがまた指にちょうど良い刺激を与えてくれます。また、ギターの弦との絶妙な摩擦を生んでで、音に微妙なニュアンスを与えたりするのだから面白いものです。

左からオリジナル、スタンダード、ホリーグレイルの表側

表側です。一番左のHERCOが、昔ドックから貰ったオリジナルHERCO。色はミルキーホワイトつまり乳白色です。「NYLON HEAVY GAUGE」と刻印があり、滑り止めのエンボスで囲まれています。真ん中はスタンダードで、刻印は「NYLON MADE IN U.S.A:」。細かい点ですが、なぜか最後のAはピリオドではなくコロンが付いているのが面白い。一番右はホリーグレイルで、刻印はスタンダードとほとんど同じ。色だけが、オリジナルよりも僅かにベージュに近くなっています。なお、ヴィンテージはオリジナルとほとんど同じ刻印ですが、色はスタンダード系のシルバーです。

左からオリジナル、スタンダード、ホリーグレイルの裏側

裏側です。一番左のオリジナルの刻印は「A HERCO PRODUCT」で、HERCOの部分が音符状のロゴになっています。そしてエンボスがありません。真ん中のスタンダードは「HERCO FLEX 75」で、ロゴが円で囲まれています。一番右のホリーグレイルは、スタンダードとほとんど同じ。なお、ヴィンテージはオリジナルと同じ刻印です。

こうして見ると、ホリーグレイルの素材で、ヴィンテージの刻印であれば、全くオリジナルと同じHERCOになったのにと、少々残念な気がしないでもありません。ただし、裏側のエンボスはあった方が確かに滑りにくいので、その辺は単なる復刻版ということではなく、プレイアビリティを考慮した改善と受け止めておきたいと思います。

ここで、扉の写真をもう一度ご覧下さい。5種類のナイロンピックがありますね。実は、プラネットウェイブス(ダダリオ)から出ている「NYFLEX」というナイロンピックの1.00mmです。こちらの表側の刻印もやはり「MADE IN USA」ですが、そう、ピリオドとコロンがありません。しかし、若干薄めながら素材はオリジナルやホリーグレイルに非常に近く、一時大量に購入して使っていたことがあります。その意味では、ホリーグレイルよりも先に、オリジナルHERCOの良さを復刻してくれたナイロンピックと言えるのかも知れません。

実は、もう一つエピソードがあります。アコースティック・ギター・ブックの取材で20年ほど前に米国テキサス州のギターショウに行ったのですが’、その時に出店していた小さな楽器屋さんというよりも個人商店のようなブースでオリジナルHERCOを見付け、10枚ほど買って来たことがあります。言うまでもなく日本では手に入らなかったので、ギタリストや楽器店の知人などに自慢しつつ(苦笑)プレゼントしているうちに、いつの間にか手元には数枚しか残っていませんでした。あの時20枚、いやもっと買っておけば良かったなぁと後悔したものです。

しかし、今ではホリーグレイルがあります。実物を見ていなかったので、取り敢えずネット通販で10枚購入しましたが、多分あと10枚、いや何10枚か手に入れてしまうでしょう。たかがピック、されどピック….HERCOは、私にとっては一生もののナイロンピックなのです☯